泌尿器の病気について

泌尿器科で取り扱う病気・症状は、広範囲にわたります。
患者さんにとっても「尿に血が混じる」「排尿時に痛みがある」といった異常に気付きやすいものから、「トイレが近い」など病院で診てもらう必要があるかどうか迷うような症状まで、さまざまな悩みがあるのも特徴です。
以下では、典型的な病気・症状の特徴と、その治療法についてご紹介します。気になることがありましたら、我慢したり、遠慮せず、お早めに受診されることをお勧めします。

がん

前立腺がん

男性固有の病気。前立腺がんの診断数は、2010年のデータで4番目に多い状況で、増加傾向です。検診対象となる主に50歳以上の方は、人間ドックなど任意検診の血液検査で「前立腺特異抗原(PSA)」を調べることをお勧めします。高値の場合は、必要に応じて生検による組織検査を考慮します。

治療法 がんの段階によって異なります。悪性度の低い場合に行われる監視療法*をはじめ、前立腺内だけのがんであれば、根治療法としての手術療法(全摘除)、各種放射線療法を、そして前立腺外に転移している場合にはホルモン療法と、さまざまな組み合わせで治療を行います。

*監視療法…進行が遅く、当面は命にかかわらないような前立腺がんにおいては、治療の有無にかかわらず余命が変わらないという研究結果があります。この結果、定期的な検査のみで積極的な治療は行わない手法が用いられるようになりました。

腎がん

腎臓に発生する悪性腫瘍で、近年も増加傾向にあります。血尿や背中の痛みなどの症状がありますが、初期にはほとんど見られず、最近は検診などで偶然に診断される腫瘍が半数以上と増えてきています。

治療法 手術によって患部を取り除くことが基本となります。転移している場合には、手術に加え、分子標的薬やインターフェロンによる薬物療法が行われます。

ぼうこうがん

腎盂じんうがん、尿管がんなどとともに、尿路上皮から発生する悪性腫瘍で、代表的な症状としては、血尿は出ているが痛みなどを伴わない無症候性血尿があげられます。

治療法 ぼうこうの粘膜表面にとどまっている初期の表在性がんの場合には、内視鏡での切除手術が可能です。ただし、再発率の高い腫瘍とされているため、ぼうこう内にBCGなどの薬剤を注入する治療を追加していくこともあります。がんが周囲に広がる局所浸潤性腫瘍という状態に対しては、ぼうこう全摘除術に各種尿路変更術を行います。転移性腫瘍の場合、抗がん剤による化学療法が中心となります。また、放射線療法を組み合わせていくこともあります。

精巣せいそう腫瘍しゅよう

男性の陰のう内にある精巣に発生する腫瘍です。割合は日本人男性で10万人に1人程度とまれですが、20~40歳にピークがあって、さらには中高年男性にも発生することがあります。通常、痛みを伴わずに陰のうがはれてくることで発見されます。陰のう水腫や炎症などの可能性もありますが、気になるはれがあったら早めに泌尿器科を受診されることをお勧めします。

治療法 基本的には、手術によって患部を取り除きます。組織型、段階、転移の状況によって、化学療法、放射線療法を行うこともあります。

排尿に関する病気・症状

前立腺肥大症

男性固有の病気です。悪性腫瘍の前立腺がんに対して、良性腫瘍の代表と言われています。前立腺はぼうこうの出口付近に、尿道を取り囲むように存在しています。これが大きくなることで尿道が圧迫され、排尿のしづらさや残尿感、頻尿など様々な形で症状が現れます。年齢とともに増える病気で、50歳以上の日本人男性の2割程度が前立腺肥大症になると言われています。

治療法 前立腺肥大症によって引き起こされる排尿障害の症状の重さや生活への支障について考慮しながら、薬物治療や手術を検討します。まずは、症状や検査結果をみながら薬物治療が行われますが、なかなか改善しない場合には、内視鏡を標準とする手術を行うことがあります。

過活動ぼうこう

急に我慢できないような尿意が起こるといったような「尿意切迫感」を伴う症候群*です。通常、頻尿や夜間尿といった症状があり、場合によっては切迫性尿失禁(尿もれ)を伴うこともあります。40歳以上の男女8人に1人は症状があると言われています。

*症候群…医学的にはっきりとした原因がわからないものの、自覚症状や検査結果の特徴などで区別できる病気のことです。

治療法 状況に応じて投薬治療や「膀胱訓練」と呼ばれる行動療法などが行われます。

神経因性ぼうこう

尿が出にくい、残尿感がある、尿が近い、尿がもれるなど、さまざまな症状が現れる病気のうち、大脳や脊髄、末梢神経が原因で起こるものをいいます。脊髄の外傷や疾患、脳梗塞、パーキンソン病、糖尿病、骨盤内手術後など多くの病気によって引き起こされます。

治療法 ぼうこう内に残尿が多くあると、後述の尿路感染症などを引き起こしてしまいます。排尿時の尿道内の圧力などを検査する「ウロダイナミクス(尿流動態検査)」によって状況を判断した上で、薬物療法や自分で尿道に細い管(カテーテル)を入れて排尿を行う自己導尿などの治療が行われます。

尿失禁

尿が意図せずもれてしまう症状です。重い荷物を持つなどお腹に力を入れたときに起こる腹圧性尿失禁、急に尿意をもよおして我慢しきれずにもらしてしまう切迫性尿失禁、腹圧性・切迫性の両方がある混合性尿失禁などがあります。

治療法 必要に応じて投薬治療が施行されます。軽い腹圧性尿失禁に対しては、骨盤底筋体操での改善を試みます。それでも満足がいかない場合、尿道をつり上げるテープを挿入する尿道スリングテープ手術が行われることもあります。

その他の病気・症状・けがへの対応

感染症

泌尿器科で取り扱う感染症で最も多いのが、ぼうこう炎です。突然、排尿時に痛みを覚えたり、尿がにごったり、頻尿、残尿感を感じることが多いです。感染が上の臓器まで達すると高熱や腰痛を伴う腎盂 じんう腎炎じんえんに発展します。こうした感染症に対しては抗生物質による治療が行われます。男性では、かゆみやうみが出るといった尿道炎などの性感染症がみられ、こちらも抗菌薬の投与などを行います。

外傷

交通事故や転落事故などにより外部から強い圧力が加わることで、腎臓やぼうこう、尿道、精巣などが損傷を受けたり、破裂するといったことがあります。状況に応じて安静、点滴、投薬、手術などの治療を検討します。

慢性腎不全

糖尿病の合併症である糖尿病性腎症が進行するなど、さまざまな原因で慢性腎不全と呼ばれる腎臓機能の低下が引き起こされます。腎臓機能の低下は回復させることが困難で、腎移植や透析などが検討されます。透析の場合、多くの血液を機械に通す必要があるため、手首の近くで静脈と動脈をつなぎあわせる内シャント増設術も行います。

腎不全によって引き起こされる骨の病気を防ぐため、副甲状腺摘除術を行う場合もあります。また、尿路感染、敗血症に対するエンドトキシン吸着療法も行います。

子どもの病気

男の子の場合、包茎手術のほか、生まれつき精巣が陰のうの中に降りてこない停留精巣といった状態に対して、将来の不妊や精巣がんへのリスク低下のため、精巣固定手術を行うこともあります。ほかにも、子どもがかかりやすい病気として、陰のう水腫 すいしゅ精索せいさく水腫に対する手術や、先天性水腎症、ぼうこう尿管逆流、尿道下裂などに対する治療を行っています。

自己チェックシート

下記のような症状でお悩みの方は、ぜひ一度、泌尿器科への受診をお勧めします。